リンク先が消えていたり、リンク先の内容が変わっている場合があります。
2009/10/20

天才ゆえの葛藤か 加藤和彦さん最後のインタビュー
加藤和彦さん30代“内縁の妻”遺産相続…密葬で遺影抱き
加藤和彦

日本のPOP MUSICを先導してきた人でした。

『軽井沢のホテルで首吊り自殺した男がいて、どうやらそれは加藤和彦らしい…』

17日に流れたニュースを読んで「まさか」と思い、間違いであってくれと祈りました。
しかし、それは本当のことだったようです。

「帰って来たヨッパライ」「イムジン河」「あの素晴しい愛をもう一度」「タイムマシンにお願い」「黒船」「パパ・ヘミングウェイ」「うたかたのオペラ」「ベル・エキセントリック」「あの頃、マリー・ローランサン」「ヴェネチア」…。

どれを聴いても天才としか思えない、ひらめきが詰まった音楽たち。
そのどれもが、時代の一歩先を捉えた音空間でもありました。

最近はアルフィーの坂崎幸之助とのユニット、和幸(かずこう)によるアルバムも出しており、まだまだいろいろやってくれそうな感じがあったのですが…。

本人の中では様々な葛藤があったようです。

「音楽でやるべきことがなくなった」

「世の中が音楽を必要としなくなり、もう創作の意欲もなくなった。死にたいというより、消えてしまいたい」

鬱を患っていたがゆえに、自分を追い込んでしまったのでしょうが…。

加藤さんは死の数日前、「10人近くの親しい知人あてに貴重なギターコレクションを贈っていた」そうです。

衝動的というより、考え詰めた末の選択だったのかもしれません。

「同じ事は二度とやらない」をモットーに音楽を作ってきた人ならではの拘りの結論だったのでしょうか。

17日、18日と、加藤和彦氏のソロアルバムとサディスティック・ミカ・バンドのアルバムを通して聴き直しました。

ふと思いました。

いつもにこやかな笑みを絶やさない人だったけれど。

いかにも慕われるべき人柄と、女性にもてそうなオーラを人一倍持っていた人だったけれど。

もしかすると、日本の音楽界を常に先導してきて、誰からも尊敬を受けてきた人がゆえに、対等に付き合える、気を緩めた付き合いが成立しにくい人でもあったのかもしれないな、と。

天才であるがゆえの孤独。

それは確かに加藤和彦にはありえることのように思えます。

「彼ほど自殺が似合わない男はない」と知人の誰かがもらしたそうですが、私も確かにそう思うのです。

しかし、誰もにそう思わせる人であっただけに、ひとたび死を考え始めたとき、自分だけであっさりと結論を出してしまったのかもしれません。

謹んで冥福をお祈りいたします。

21世紀の公園で