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2006/12/30

フセイン裁判 スピード執行で正当性に疑問の声
フセイン死刑執行:裁判の正当性、疑義が渦巻く中で
フセイン死刑執行:各国の反応は…

フセイン元大統領の死刑は、平和に貢献するのか?

フセイン氏が強権を持つ独裁者であったこと、そしてその独裁の中、フセイン一族が富を獲得してきたこと、そしてフセイン一族に対立する人々に過酷な追及を行い、多くの命が失われたこと。
これらは事実であろうし、それは多くの民主主義国家から見れば、確かに犯罪行為としか呼べないものです。

しかしこれらが、イラクという政治的に非常に不安定な地域に、一定以上の安定をもたらしていたことも、事実として認めなくてはならないでしょう。

フセイン氏を裁き、死刑とした裁判は、少なくとも私の感覚では、「かつて虐げられていた勝者が、負けた独裁者を一方的に裁き、さらし首にした」というだけのもので、近代的で公平さをモットーにする近代裁判とはほど遠いものです。
近代的な裁判の形をまねてはいても、「先に結論ありき」はあまりにもミエミエでした。

なぜ国際法廷で裁かれなかったのか?
イラクの法廷なのに、なぜアメリカの法律専門家が多数参加しているのか?
被告側弁護人や判事の親類らが殺害される事件が相次いだ中、本当に公正な裁判ができたのか?
イラク政府の干渉によって裁判長が途中で交代させられたのは、政治的圧力以外の何物でもないのではないか?

早々にフセインを確実に排除したいイラク新政府の考えも分かりますが、公正な裁判とは言えない死刑では、禍根を残さないではいられないでしょう。

現在のイラク新政府は、まだ独立政府としての実力を持ちません。災いの根を断ち切る為に、死刑を急ぎたかったのでしょうが、むしろ国際社会においては、近代国家としての信用を落してしまったのではないでしょうか。

2006/12/19

Winny裁判を考える なぜ「幇助」が認められたか(寄稿:小倉秀夫弁護士)
Winny事件判決の問題点 開発者が負う「責任」とは(寄稿:白田秀彰氏)

Winny判決をこう見ている人がいる。

2本とも、ITmedia NEWSに寄稿されたもの。
どっちも法の専門家の意見だけあって、読むとそれなりに納得する部分がある。その意味では非常に勉強になった。
とはいえ、結局のところ、「それなりに妥当な判決だと思うけど、すっきりしない」という印象が、どちらにも漂っている。

2006/12/14

Winny裁判、罰金刑は重いか?軽いか?--自己矛盾を抱えた判決
Winny開発者に罰金150万円の有罪判決

Winny判決の読み方例。

この評論記事はそれなりには説得力があるように思う。

若干の語弊を怖れず、無理やり私の言葉でまとめてしまうと、ソフトもソフト開発そのものも無罪だが、そのソフトの公開は、現行著作権法の崩壊を意図した行動であり、言わば確信的なテロ行為とみなされる…しかしそのテロ行為は、より理想的な著作権ビジネスモデル構想のためのテストとも言え、理想を追求する姿を単なる犯罪行為と同レベルで語るのは避けたい…ということで、150万円の罰金と言う比較的小額の罰金刑だけで収めようとした判決なのだろう、と。

(かなり語弊はありそうなので、気になる方はぜひリンク先の記事を自身の目で読んでください。(^^;;)

その意味において、判決としては自己矛盾を多く含みながらも、結果的には妥当な判決結果なのではないか…という意見なのだ。

大枠において、私もかなり同意できる。
この判決は、デリケートな問題の、そのデリケートな部分を、大変細やかな神経で検討を重ねた結果なのだろう。

しかし一方で、法としての整合性だけに絞って見ると、やはり曖昧な判決ではある。
情緒的にはそれなりに納得できるのだが…難しい。

ちなみに、下のリンクはIT系一般ユーザーによる掲示板での議論。
混迷しているが、傾聴すべき意見も多いように思った。

2006/12/14

「Winny」開発者の金子勇氏に罰金150万円の有罪判決 幇助として問われるかどうかは「現実の利用状況や本人の認識による」
「Winny」開発者の金子勇氏が会見、本日中に控訴へ 「著作権侵害を蔓延させる意図は無かったとの事実認定で、なぜ有罪なのか」
2ちゃん管理人がウィニー判決にコメント

違法な目的に使用可能なソフトを作成・公開したら有罪?

Winnyに関する判決が出た。
事件の内容は何度か私も書いた話なので、ここでは割愛するが、判決内容は「著作権侵害幇助で有罪」で「罰金150万円」。

しかし判決文では、Winnyについて「それ自体はP2P技術としてさまざまな分野に応用可能な有意義なものであり、技術としては価値中立的なもの」とあり、「ソフトの提供が公然と行なえることではないことも知りながら、Winnyの開発・公開を続けており、こうした行為は独善的かつ無責任であり、批判されるべきもの」と書きながらも、同時に「著作権侵害が蔓延することを積極的に企図していたとまでは認められない」とも書かれている。

だとしたら「著作権侵害幇助」だと言い切れるものなのだろうか?
「ソフトそのものには違法性が無いが、違法な目的にも使用できるソフト」を「違法な目的に使用している人が多いことを認識したまま開発・公開」したから有罪なのだとしたら、銃やナイフだって「違法な目的に使用している人が多いことを認識したまま販売」してやしないか?

ただ、金子被告が違法なファイル交換の蔓延に同調していたのはおそらく確かだろうし、むしろ愉快犯的にそそのかしていたという感触もあるように思う。
その意味では被告が「潔白」と言い切ることにも、正直言って同意はしずらい。
感触的には「潔白」と「黒」の間の「灰色」であり、「灰色ならば有罪にはならないが厳重注意」というあたりが妥当なのではないか?

現実には、違法なファイル交換方法を積極的に記事として掲載していた雑誌・ムック等の編集部やライターは摘発されておらず、未だにそうした本は全国で販売されている。
それらを許しておいて、「技術としては価値中立的なもの」を開発・公開したことが罪であるとするならば、これは大変バランスを欠いた状態だと思う。

結局、今回の判決では、何を以って「著作権侵害幇助」と言えるのか、とても曖昧な説明しかなされていないのだ。

金子氏は早速上告したようだし、おそらくこれは高裁、最高裁まで引きずるのだろう。

「2ちゃんねる」管理人の西村博之氏の「法律上はたいした罪ではないけど、社会的には有罪にしなければいけないというプレッシャーの中で、かろうじて有罪だけど罰金だけということにしたのかなぁ」というコメントは案外的を得ているのかもしれない。

2006/12/07

世界の「富」、人口の2%が半分以上所有
世界の「富」の85%、成人人口の2%が保有 国連報告
世界の1%、富の40%保有 国連調査で格差浮き彫り

ある意味、とても虚しい統計ですが…。

世界の富の約40%は、わずか1%の人々が所有しており、また、世界の富の約85%は、わずか2%の人々が所有しているのだそうです。

さらに、下位50%の人が所有する富を合計しても、世界の富のわずか1%にしかならないとのこと。

他にも以下のような分析が載っています。

上位1%の人の37%はアメリカ人で、27%は日本人。
3位は6%のイギリス、4位は5%のフランス、その後イラリア、ドイツ、カナダ、オランダと続く事から、アメリカと日本がいかに金持ちの国であるかがよく分かります。

格差を示す指標「ジニ係数」では、アメリカは0.8、イギリスとフランスは0.7、日本は0.5。
これは日本は金持ちと貧乏人の差が少ないことの現れだそうです。

一人あたりが持つ「富」は平均2万500ドル(240万円)で、日本が最高の18万1000ドル(2100万円)、アメリカは次点の14万4000ドル(1700万円)。

また、一人あたりが持つ「富」の最下位はアフリカのコンゴ民主共和国で180ドル(2万1千円)、次点がエチオピアの193ドル(2万2千円)。
つまり、日本の千分の1になります。

この統計は国連大学の研究機関で行ったもの。
データは2000年のものを使用したそうです。

いろんな意味で考えさせられる統計です。
自分が裕福な暮らしをしているとはとても思えないだけに…ね。

2006/12/05

FBI、携帯電話を遠隔操作で「盗聴器」に--マフィアの捜査で使用

貴方の携帯電話、盗聴器と化していませんか?

FBIは捜査のため、捜査対象の使用する携帯電話を盗聴器として利用しているらしい。

記事によると、大きく分けて方法は2つある。

1つは、携帯電話の中に盗聴器を仕込む方法。
小さなマイクと送信機を仕込み、携帯のバッテリーで動作させればいい。
盗聴用のマイクも送信機も、この時代、小さなボタン程度の大きさだから、携帯電話の中のわずかな隙間にでも押し込める場合は少なくないだろう。

もう一つは、携帯電話の中に盗聴用のプログラムを仕込む方法。
携帯の中にはマイクも送信機も元々あり、携帯は、携帯内にあるプログラムに沿って動く小さなコンピューターだ。
なので、そのプログラムに、常にマイク音声を拾い、常にそれを特定チャンネルで送信するようなプログラムを追加してやればいいのだ。
プログラムは物理的な場所を取らないし、実際、携帯電話にアドオン(追加)するプログラムは既に当たり前になっている。
携帯でゲームをダウンロードして遊んでいたり、ちょっとしたユーティリティをダウンロードして機能を追加したり、そういうユーザーは実に多い。
そうしたダウンロードして追加したプログラムが、実は盗聴プログラムであったら…。
しかし、こういう心配をしても仕方ないらしい。
ユーザーがダウンロードなど一切行わなくても、遠隔操作で、ユーザーが気が付かないうちにプログラムを追加することもできるのだそうだ。

FBIの操作で使用されているだけなら、まぁ、健全な一般市民には関係ない話だろう。
しかし、FBIが「できる」ということは、犯罪組織にも「できる」ことなのかもしれないし、「ストーカー」や「ハッカー」といった個人にも「できる」可能性がある。
今はできなくとも、数年後、いや明日には、そういうことをやる奴が出てくるかもしれないのだ。

もし携帯が盗聴器と化している可能性があるとしたら、我々個人はどのような対処が可能なのだろうか。
電源を切っておけばいいのか。
いや、携帯の電源を切っていても、セットされたアラームが鳴ったりする。
これはつまり、電源を切っているつもりでも、実はプログラムは動いているということ。
携帯は電源を切っても動作はしているのだ。
防御策は「バッテリーを抜く」しかないらしい。
それも、万一予備のバッテリーが仕掛けられていれば十分とは言えないのだが。

私達がなにげなく使っている携帯電話は、実は小型のコンピューターに無線機能を付けたものだ。
つまり、パソコンにセキュリティー対策が必要なように、携帯にもセキュリティー対策は必要になっていく。
携帯が便利になればなるほど、リスクも増える。
それを普段意識することは難しい。
難しいが、それは徐々に「生活者にとって絶対に必要な知識」となっていくだろう。
「高度な便利さ」の背中には、常に「高度なリスク」も貼りついているのだ。

21世紀の公園で